CraftGene Craft_vol.0

旅、人、ものづくり。いい旅には、きっといい出会いがつきものです。職人との出会い、街を歩く楽しみ——。伝統工芸をはじめとした「ものづくり」をテーマにした特集記事を通して、日本各地を旅してみませんか?


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4CraftGene『いい酒をつくるために大切な工程はいくつかあります。その中で、私たちはお酒の味を左右するのは米だと思っています。だから最初に米を精米し、洗い、水に浸し、蒸す、この行程はとても大切だと思っています』「精米って、米を削るんですよね?日本酒はお米をものすごく削ってつくるって言いますけど、やっぱり味が違うもんなんですか?」『いろいろな言い方があるようなんですけれど、精米歩合(せいまいぶあい)というのが、お米を残す割合です。蒼天伝の大吟醸の精米歩合は35%。お米の中心の部分を心白と言うのですが、お米を外側から削って、中心の35%を使います』「35%っていうと半分以上を削ってるわけで、やっぱり贅沢ですよね」『そうですね。贅沢だと思います。表面の部分をお酒にすると、雑味が出てくるんです。成分削る歩合を高めるほど、お酒にした時の味がクリアになっていきます。ただ、たくさん削ったお米というのは、とてもデリケートなので、扱うのにとても神経を使います』「米の大事な部分を守っている鎧をどんどん削ってしまうイメージがありますもんね」「これを見てください」というパネルは、水を吸ったお米を拡大した写真。『この粒が精米したお米です。普段食べているお米の形とはだいぶ違うでしょう』「ほんとだ。ほとんど楕円形ですね」『この写真はきれいに水を吸わせることができているんです。水を吸わせるのは米の3割まで。水が浸透した周辺部分は白くなって、真ん中が透明になってますよね。ここまで水を吸わせたら、次は蒸します』「この段階、3割吸わせる段階を見極めるのは、人の判断によるんですか?それともそういうのを計る機械があるんですか?」『人の判断です。その時の米の様子を見ながら、担当者の判断で蒸しに進めます。判断も大事だし、お米そのものの質も大事なんです。この写真のように上手に吸わせるためには、いいお米でないといけないんです』「いいお米?」『米が割れてしまうのが私たちにとっては一番困るんです。粒がしっかりしていて、形を保っているのがいいお米。米を削り、水を吸わせるのは私たちの仕事なんですが、いいお米を作っていただくのはお米農家の方々。そういう意味では農家の方がいいお米を作ってくださって、それではじめていいお酒が出来ます』蔵の2階。真っ白な泡に覆われた、いままさに発酵している様子を間近にできる。大きく高さのある樽なので、1階に置かれた樽の口は2階から覗くのだ。この中で、米は静かに着実に発酵し、日本酒となっていく。杜氏の柏大輔さん直々に案内していただいた。物静かだけどお茶目。オリジナルのパネルを見ながら説明を聞けるので、素人でも分かりやすかった。研いだ米を水に浸す。農家の方が一生懸命に作った米を大切に大切に扱う。いかに米に水をきれいに吸わせるか、そこで酒の良し悪しが決まる。上手に水を吸った米。周りは白く、中は透明にが理想だ。精米して表面の65%を削るので、形が普段食べている米とだいぶ違うのもおもしろい。米を蒸す釜。今はガスを使うそうだ。大人の身長よりも高い。男山本店では、酒造りの期間中は毎朝8時半から蒸す作業が始まる。


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